このページは過去の災害事例や災害研修などから、今後どういう対応を行っていくべきか等の考察に資する内容を掲載していきます。

■事例研究 
 阪神大震災および新潟中越地震における 士業の活動事例紹介
「各士業における災害復興の取り
組みについて」研修会開催の様子
災害事例を取り上げた「各士業
業務等紹介」研修会の様子
 
   
「阪神大震災における兵庫県社会保険労務士会の活動事例」
神戸市の要請を受け2月1日から電話相談窓口を設置(2月1日から28日で電話相談件数257件)。
2月21日から3月20日までの面談による相談会を実施し、パートタイマーの解雇に関する問題や雇用保険が未適用事業所での労働者からの相談が多くよせられた。(新聞紙上で取上げられた解雇問題などもあった)
社労士・雇用問題ホットラインは2月21日から3月20日で相談件数460件であった。
「私にとってのボランティアは、震災で疲れきった事業主に対し、無償で仕事をしてあげること」と語った九死に一生を得た社会保険社労士(被災者)の言葉が印象に残った。

「阪神大震災におけるマンション管理士会(日本マンション学会)の活動事例」
阪神・淡路大震災当時にはマンション管理士がいなかったため、以下は日本マンション学会の取組みである。
震災1ヶ月後の2月18日・19日の2日間 被災マンション相談会を開催した
法律、管理、建築の専門家が3人1組となり計101人のメンバーが、直接面談方式と電話相談による方法で計179件の相談に対応した。
復興過程で生じた諸問題として、1,建物の既存不適格の問題、2,区分所有者の合意形成の困難さ、 3,復興への行政支援の違い、4,抵当権処理の問題、5,建替え事業方式の問題 等である。

「阪神大震災における税理士会の活動事例」
本会(近畿税理士会)会員並びに全国税理士(会)、関係企業 団体等から総額3億2000万円の義援金が集まり、日本赤十字兵庫支部等に3500万円贈った。
「阪神・淡路大震災に関する税制上の取扱い等に関する緊急要望書」を四次にわたって提出し、税の申告期限の延長、軽減、控除等特例を求めた。しかし、税に関してかなり重要な書類にも関わらず「罹災証明書」の取り扱いで、法の根拠が不明確であり、発行元も様々であった。
また、被災区域外の顧客に対し被災区域の税理士の特例がなかった。
「被災者のために税務の専門家としてその使命を全うしよう」という熱い思いが、よろず相談所・震災特例研修会に参加の皆さんに溢れていた。

「阪神大震災における兵庫県土地家屋調査士会その他専門団体の活動事例」
兵庫県土地家屋調査士会は、1月24日に地震対策委員会を設置している。
1月27日から2月28日で、土地・建物に関する相談件数は2996件であった。
相談内容では、例えば、西宮市の造成地で最大50センチのズレが出た地域の取り扱いについて「局部的な地表面の土砂の移動(崖崩れ等)の場合には、土地の筆界は移動しないものとして取り扱う。」という考え方に基づき、現地の境界を復元した事例等がある。
また、自由業団体連絡協議会に所属する土地家屋調査士会、司法書士会、弁護士会 公認会計士協会、税理士会、不動産鑑定士会、行政書士会、建築士事務所協会、社会保険労務士会の9団体による無料合同相談会を開催した。

「新潟中越地震における新潟県司法書士会の活動事例」
平成16年10月23日      地震発生 
平成16年11月15日      市町村災害対策本部へ「無料電話法律相談」の広報協力願い。
平成16年11月22日〜12月5日 電話法律相談。99件の相談に対応。
平成16年12月4〜5日     面談による法律相談会実施(11市町村14会場・109件に対応)
平成16年12月6〜25日    巡回法律相談車による相談(90件の相談に対応)
(ワゴンタイプの車3台を使用し避難所や仮設住宅に出向き相談を車の中で受ける)

阪神大震災の際の法律相談活動の経験では、余震も収まり、自宅や仮設住宅での生活が始まった頃より、本当の意味での法律問題が表面化した。
研修会では、被災後、1,相談員はどのように対応したらよいのか、2,想定される相談者や相談内容とは何か、3,最新情報の取得はどうしたらよいのか等、報告があった。
  (事例原稿作成:稲山運営委員)


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